翌日、ユウキのお見舞いに向かった。
お互い10年も経っていれば変化があるものだが、ユウキは大人っぽくはなっていたものの可愛らしさは変わらず残っていた。
目が合うと満面な笑みを浮かべて、迎え入れてくれた。
「トウマ?久しぶりだね〜!」
「お久しぶり。」
お見舞いで持ってきた、ユウキの大好きなメロンをベッド脇に置いた矢先、ユウキが手を握った。
「びっくりしたよ!」
「えっ、お母さんから来ること聞いてなかったの?」
「なんも聞いてないよ!」
相変わらずの綺麗な目で、まじまじ見つめてきた。見つめられる側が照れてしまう程の目力。
「あんま見んなよ、老けたんだから。」
「えーっ、トウマ全然変わんないじゃん!ユウキの方がヤバいもん!」
自分のことをユウキって言うのも変わってなかった。
「ユウキこそ変わってないね、あっ・・・ごめん・・・。」
そこまで言って、しまったと思ったがユウキは察知し笑顔で、
「まあ、こんなカッコをトウマに見られるとは思ってなかったしね。」
「オレもびっくりしたよ。」
少しの間・・・
ユウキは恥ずかしそうだった。
無理もない、10年ぶりに会ったのに病を煩った姿を晒すことへの抵抗でもあったのだろう。
誰でも歳は仕方ないにしろ、病に関しては辛いのだろうなと汲み取れる。
しかも、HIV
こっちの世界に足を踏み入れた者なら、可能性を覚悟することのある病。
「なんで入院したかは聞いた?」
「ああ、一応・・・。」
「そっか・・・。」
暫くの沈黙、その後の言葉が続かない。
トウマ、何か言え、そう心で呟くが一向にでない。ユウキ、何考えてる?言葉にならない思い。
沈黙はやはり、ユウキがかき消した。
「あの時さ〜、覚えてる?トウマと最後に会った日。」
「ん?あ〜、ねるとんgaynightの?」
「そうそう、あの日が懐かしいなぁ。」
ユウキの遠い記憶は、10年の歳月を遡ることになる。
それは儚い夢なのかもしれない。